辺野古移設 政府は沖縄の苦悩に向き合え

基地負担の審理尽くせ

米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で、沖縄県の翁長雄志知事が
埋め立て承認を取り消したことを不服として国が県を提訴した
訴訟の第1回口頭弁論が2日、福岡高裁那覇支部で行われた

翁長知事

国は、知事の代わりに国が取り消し処分を撤回する代執行を求める
基地問題で国と沖縄県が法廷で争うのは20年ぶりの事態となった

翁長知事は意見陳述で、あくまでも移設計画を推し進める政府を非難し
沖縄の現状は「米軍施政権下と変わりない」と指摘した

一連の選挙で移設に反対する沖縄の民意が明確になったにもかかわらず
米国との再協議に踏み出そうとしない安倍晋三首相の姿勢を考えれば
その主張は当然といえる

日米関係に亀裂

スポンサーリンク

国は、承認取り消しで日米関係に亀裂が生じると主張して
対米合意を優先する立場を変えようとしない

戦後70年を経てなお続く基地負担に対し
沖縄県民の多くは忍耐の限界に達しているはずだ

訴訟では法文上の精査にとどまらず
海兵隊駐留の必然性の有無など
問題の本質に関わる審理を尽くしてほしい

翁長知事は法廷で、戦後米軍に土地が接収された歴史に触れ
「沖縄が米軍に自ら土地を提供したことは一度もない」と強調

にもかかわらず現在も、国土面積の0・6%にとどまる沖縄に
米軍専用施設の73・8%が集中していると指摘
「沖縄県にのみ負担を強いる今の日米安保体制は正常と言えるのか」と訴えた

第1回口頭弁論

多くの民事裁判の第1回口頭弁論は事前に提出された
双方の書類の確認で終わるのが通例と言われるが
知事が今回あえて出廷して陳述したのは
沖縄の民意をより明確に伝えるためといえる

国側は、前知事による埋め立て承認に瑕疵(かし)はないとして
取り消しは違法と主張しているが
工事強行による県との摩擦を懸念する声は米国内にもある

政府が急ぐべきは、県外、国外も視野に入れた計画の再検討が必用ではないか

政府は訴訟の一方、移設先とする名護市辺野古など地元の
「久辺3区」に、補助金を直接交付する枠組みを新設すると発表した

移設に反対する市を通さず、恣意(しい)的に
公金を配分する手法には法的整合性への疑義が指摘されるなか
本年度は最大3900万円を交付し、来年度以降も継続する運びである

現地では移設に反対する市民の座り込みを
機動隊による強制排除で負傷者も出ている

カネと力で民意を抑え込もうとする政府の姿勢をあらため
県との対立の解消のために、法廷で徹底した審理を切望する

菅義偉官房長官は2日の会見で

米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐる
代執行訴訟の第1回口頭弁論が開かれたことを受け
菅義偉官房長官は2日の会見で
県と政府の1カ月の集中協議が決裂したことで
「対話の余地はなかった」と述べ、法廷で県側と全面的に争う姿勢を示した

菅氏は仲井真弘多前知事が埋め立てを承認したことを重ねて強調し
「行政判断が示された中で政府は工事を進めている」と述べ
あらためて法的手続きの正当性を主張した

対話による解決を求める世論が根強いことに対しては
「20年近く話し合いをしてきたがこの間
『世界で一番危険だ』と言われてきた普天間飛行場はまだ残っている」と説明
危険性除去や基地負担軽減のために代執行を進める必要性を強調

政府が県に約束した普天間の5年以内の運用停止は
普天間から常駐機がなくなることとの認識を示しつつ
実現は「沖縄側の協力」が条件だと強調した

負担軽減

翁長雄志知事は辺野古新基地が完成するまで普天間の
危険性が放置されることが「固定化」だと指摘しているが

菅氏は「全く当たらないと思う
国は負担軽減のために全力で取り組んでいる」と述べ
KC130空中給油機が普天間から山口県の岩国基地に
移駐されたことなどを成果として挙げた

全国的にも注目される裁判
辺野古代執行訴訟 

翁長知事会見

《1回目を終えて感想は》

「1回目の口頭弁論ということで、私も冒頭陳述ということで
話をすることができて大変よかったと思っている
法律的な準備書面とか、私のもっと詳しい陳述書なども
証拠書類という形で出している
私自身は沖縄の気持ちと言うか、沖縄の県知事としての
気持ちを話した方がいいのではないかということで
沖縄の基地の問題と、それから振興策についての誤解
そういったことなどを重点的に話をさせていただいた」

「私が終わった後、裁判官の方から大変分かりやすい話でしたという
話もあったので、思いは伝えられたかなと思っている
その意味では私自身が冒頭陳述をしたのは
意味のあることだったなと思っている」

《知事の意見陳述後、国側の代理人が法廷は
政治議論の場ではないというような主張をした
そういう態度についてどう思うか》

「向こうがそういうふうに言うのは心証の問題だから
それはそれで考え方として向こうが持つのは勝手だ
だが、私からすると沖縄のそういったもろもろというのは
やはり私がいつも魂の飢餓感と言っているように
その落差を埋めないと、裁判全体の
それが取り入れられる取り入れられないとは別にして
思いを伝えるということが大切
政治的なものというよりも沖縄県民の心情、心を私は伝えたわけで
それ以外の法的な面はしっかり書面で提出されているから
私はその思いを話をするということで
冒頭のそういうことになった
向こうがそれにどう感じるかなどということは考えたこともない」

《裁判官に対してどういう判断を求めるか》

「私もそういう立場でそこに居合わせるのは初めてなので
比較する方がおらず、今の裁判官がどういう感じでいらっしゃるかとか
比較して、これっぽいとかあれっぽいとかいう話は私たちからはできない
ただ、真摯(しんし)な方だなということだけは感じたので
その辺の中に、私たちもしっかりと私どもの思いを考え方を伝えて
しっかり判断をしていただければありがたい」

《国側の主張を聞いての感想は》

「予想通りというか、そういう意味ではことしは集中協議もあったし
それ以外にもいろいろ話し合った
それぞれの担当大臣なども強権的な辺野古唯一というですね
そういったものの中で推し進めてきたものが
そういった書面にも表れてきているなと感じている
それについては当然想定内なので、弁護士の先生方と意見交換し
しっかりとやりとりをしていたから、裁判官にもいい形で
それぞれの考え方が伝わったのではないかなと思う」

《最後の方で、この裁判で問われているのは単に承認取り消しの
是非だけではないと言っていたが、この裁判で問われているのは何か》

「当然この裁判は直接的には取り消しの訴訟なので
そういった法律論は確かにメーンであることは間違いないが
やはり今の沖縄が置かれている基地問題とか
今日までの歴史を含めて考えると
ことしの安保法制とかいろんなものを踏まえると
日本の地方自治の問題、民主主義の問題がしっかりと
問われている感じがしている
そういった法律的な判断もさることながら
やはりそういった背景などをどの程度
斟酌(しんしゃく)してくれるか分からないが
私が話をすることの意味合いがあるのではないか
そういったことを話をする中に、そういうものを理解しつつ
法律的な解釈というものになればいい
沖縄の歴史と沖縄の心情などを話をする中に、これからのいろんな
法廷の場でやりとりが出てくるとありがたいなと思う」

《最後の部分で、知事は国民の皆さま全てに問い掛けたいと言った
国民全体に呼び掛ける形にした理由は》

「やはり、沖縄の問題は、この基地の問題は第一義的に沖縄の問題が大きいが
それは翻って考えると日本の地方自治
例えば福島だと原発の問題を抱える、あるいは核ごみの
問題を抱えるところもあるでしょう
そういったその地方自治体だけにある意味で全体的なものの
しわ寄せがきたときに、本当の意味での地方自治というものをみんなで
考えていかないと、なかなか難しいというような思いもあった
沖縄の問題を通じながら日本全体で物事を考えてもらいたいというような
意味合いで、特に地方自治と民主主義という意味で
それを国民の皆さま方にも、この裁判に注目してもらいたい」

「沖縄と日本の将来のために、判断をいただきたいと
裁判官の方に一番最後の1行で訴えた
それ以上は国民も含めて訴える形を
裁判官には見ていただきたいということも最後の1行で入れている」

《抗告訴訟の見通しは》

「これはシミュレーションの中にあったので、議論はしている
弁護士と相談しながら期限というのがあるはずだから
そういう事を想定しながら、物事を進めていく
きょうの出廷の方に力を入れていたので
事務方の方で弁護士のみなさんと相談しながらやっていると思うが
早速、これも私もきょうどこまで来ているかということも含めて
判断をしたい
私自身の考え方は申し上げてはいる」

「ただ今細かい話をすると齟齬(そご)があってはいけないので
気持ちは固まっているが、何日がどうだとかという話をすると
間違った話になってはいけない
あした本会議もあるので、朝参りますので、その時か
あるいはまた、いい形でお伝えできればいいかと思う」

《どれくらい斟酌されるか分からないと述べたが
法律論以外のものも含めて主張したときに裁判官とのやりとりを通じて
訴訟の中で何らかの影響を与えると思うか》

「裁判に限らず、お互い人間がやることなので
無味乾燥な法律論争だけではなくて
確かにそれに影響を与えるかどうかというのは
人によって取り方も違うと思うが、やはりお互い分かり合うのは
大変重要なこと
やはりベースを話をして、どの程度ご理解いただけたか
判断するわけにはいかないが、それを私の方で話をするということは
大変重要な要素になっていると思う
しかしこれは読める話ではないが、私も政治は長いですから
その意味では人と人との思いの通いは必ず何かのときに
参考になるのではないかと思う」

「自然壊し公益」批判 名護市長

稲嶺進名護市長は2日、同市辺野古の新基地建設の
埋め立て承認取り消しをめぐる代執行訴訟の第1回口頭弁論を受け
「(国側の主張は)極めて一方的な押し付け
裁判所はしっかり審理してほしい」と求めた
市役所で、記者団の質問に答えた

抑止力維持などの観点から埋め立て事業の公益性が高いとの
国側の主張について「沖縄だけに負担を押し付け
大浦湾の貴重な自然をつぶしてまで基地を造るということが
公益というもので片付けられる
無視されるのは納得がいかない」と批判した

県と国が争った1995年の代理署名訴訟について
「県の控訴が棄却され、一方的に判断が下された」と指摘
「わが国は三権分立がきっちりなされていると思いたい
しっかり審理してほしい」と求めた

辺野古にきた警視庁機動隊員――国費でリゾート宿泊

沖縄・名護市辺野古の新基地建設をめぐり
米軍キャンプ・シュワブゲート前での警備活動に投入された
警視庁機動隊員には国家公務員等の旅費に関する法律により
国庫から旅費など、派遣に必要な経費や日当も支給される

福島みずほ参議院議員の問い合わせに

11月16日警察庁警備局が
警視庁からの派遣については、沖縄県公安委員会が
東京都公安委員会に援助の要請をしたとしているが
日本政府の関与が経費面で明確になったことで
新基地建設反対派の反発が高まりそうだ

また福島みずほ参議院議員は「安倍晋三首相は
沖縄の声を聞くと言いながら
翁長雄志沖縄県知事の公有水面埋立承認取消通知書すら
読んでいないと私に答弁した
警視庁機動隊の投入に政府の意向が働いていることは明白
暴力的なやり口は許せない」と述べている

カルチャーベイリゾート

警視庁機動隊員の宿泊先について

警察庁警備局は回答を拒否しているが
多くの目撃情報や関係者の証言によると
同ゲート前から約10キロの「カヌチャリゾート」
同リゾートのホームページによると、朝夕食付きの場合
大人一人一泊が最低2万5800円する高級リゾートだ
ただ、警察庁警備局は宿泊費について、一泊一人あたり
7,800円(消費税込み)としている

『名護市にある(株)カヌチャリゾートの
白石武治会長・武博社長らは
仲井眞弘多前沖縄県知事とじっこんといわれる』

沖縄在住のノンフィクションライター

渡瀬夏彦さんはこう憤る

「格安料金ならいいという話ではありません
警視庁機動隊員は、沖縄戦の知識や座り込むおじぃおばぁへの思いやりがなく
県警よりも暴力的です
しかも朝、ゲート前座り込みの“排除”などの任務を1~2時間こなした後
帰ることが多い
あとは高級リゾートでのんびりしているのでしょうか
警視庁機動隊員への反発が、日本政府への怒りをさらに増幅させています

デモ

県の抗告訴訟18日に議決へ 県議会に8日提案

米軍普天間飛行場の移設をめぐる名護市辺野古への新基地建設で
翁長雄志知事による埋め立て承認取り消しを
国土交通相が執行停止したのは違法だとして
県は8日の県議会本会議に、県が提起する抗告訴訟関連議案を
追加提出する方針を固めた

議会運営委員会で同意を得られれば、10日の一般質問最終日で
翁長知事が内容を説明し、18日の議決を目指す日程で
議会側と調整に入る
県議会は与党多数のため、提訴議案は可決される見通し

県は議案提出の前に4日に庁議を開き、提訴を最終決定する
1日に開いた県の法制審議会では提訴を了承している

県は2日、埋め立て承認取り消しをめぐる政府との代執行訴訟に臨んだが
それに先立ち国交相が承認取り消しを執行停止し
これを受け沖縄防衛局が新基地建設作業を継続している
このため政府の処分の違法性を訴え、抗告訴訟を提起することを決めていた
承認取り消しをめぐり県と政府が互いに提訴し合う事態となる
翁長知事は2日夕、記者団に「私の気持ちは固まっている」と述べ
あらためて抗告訴訟を提訴する考えを示した

宜野湾市長選

問われる普天間・辺野古問題の民意

宜野湾市のど真ん中にある普天間基地はオスプレイなど40機が常駐する
この地で、市長選挙が来1月24日に行われる
この選挙は、普天間基地のまさに「地元の民意」を問うことになる

安倍政権は明らかに今夏までは、この選挙を楽観視していたと思われる

普天間返還には辺野古基地の建設が必要であり
辺野古阻止を叫ぶ翁長知事は基地返還の妨害者だとの論理は
必ず宜野湾市民に支持されると見込んでいたのである

また、翁長陣営が候補者の人選に難航したこともあって
政権や自民党の楽観論を広げたといえる
一時、辺野古反対派内部にさえ、現職市長の自民系
佐喜眞淳氏には勝てないとの悲観論が流れていたほどだと言う

しかし、翁長陣営に促されて志村恵一郎氏が出馬を発表すると
情勢は一変したといわれる
現在では、むしろ志村氏がリードしているとされている
この情勢変化の背景には、様々な要因がある

志村氏は、元県庁土木建築部の幹部で
父親は自民党沖縄県連会長や県議会議長を歴任した大物政治家だった
その威光は今も残るといわれ

同氏は、本来共産党や社民党などの
革新系が強いとされる宜野湾市で、革新系に加えて
保守系や土建業界一部にも食い込む
志村氏出馬を演出した選挙のプロ・翁長知事の面目躍如でもある

カギを握ると言われる公明党は、自民党とともに
佐喜眞氏推薦の方向で調整しているが
創価学会婦人部が辺野古移設に反発しており
組織内は一枚岩ではないようだ

しかも、県民の70~80%が辺野古移設反対であるため
佐喜眞氏が自身の本音である「辺野古容認」を
公言できない政治事情もある
そのため、「辺野古」については、あいまい戦術に徹し
普天間基地の危険性除去、早期返還を唱えるにとどまっている
辺野古阻止と県外移設を訴える志村氏に比べて、迫力不足は否めない

ジュゴン

佐喜眞氏の苦戦の背景には

官邸主導の辺野古政策がある

穏健な保守派や無党派層の中には沖縄県民多数派の民意を無視して
強引に工事を進めてきた安倍政権の姿勢に反発する人も多い中

現場から遠く離れた、超多忙な菅官房長官が
「沖縄問題」を一手に引き受けているため
現場からの微妙な情報は見過ごされやすいはずである

もし、宜野湾市長選挙で志村氏が勝利すると
翁長陣営が勢いづき、6月の県議会選挙と
7月の参議院議員選挙でも連勝する可能性が大きくなってくる

辺野古の埋め立て承認取り消し問題は、法廷闘争に持ち込まれ
政府が勝つ可能性が高いと言われるが
たとえ、裁判で勝っても、沖縄での選挙に
自民系が敗北を続ければ、現地の民意に反することになる

辺野古工事の「正当性」が問われ
民主主義制度そのものへの疑念が増すことになるだろう
それでもなお、菅官房長官はその剛腕ぶりを発揮して
辺野古工事の強行に突き進むのであろうか

<琉球新報、 沖縄タイムス、 朝日新聞、毎日新聞を参照にした>

スポンサーリンク

スポンサーリンク

コメントを残す

サブコンテンツ
2017年11月
« 10月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

このページの先頭へ

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。